平均を極めよう(2)
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平均を極めよう(2)

データ分析には平均値は必須ですが、その平均値は経営判断にマッチするものなのか、平均値の全容を掘り下げてみましょう。

いま一度平均とは

平均値はデータ全体の中心的傾向を示す代表値として、データ分析に多用されます。それぞれ個性のある数多くのデータを一つの平均値にすれば、データ全体の中心的傾向をつかむことができ、データ数が異なるデータ集合同士を比較するのに役立ちます。

 

また、一口に平均値と言っても、データの性質により多様な求め方があり、目的や用途に応じて相応しいものを使わなければなりません。重要なのは、「このデータは平均が使えるデータなのかどうか」をきちんと見極めることです。

平均値の多様性

平均にも3種類あり、ひとつはお馴染みの@単純平均、次にA相乗平均、更にB調和平均があります。おまけにC加重平均と呼ばれるものもあります。

 

 

◇単純平均
単純平均は、データを足し合わせたときの平均です。テストの平均点など広く使われています。しかし、データに外れ値があるときは、平均の代表性が弱まります。
単純平均=(a+b)/2

 

◇相乗平均
相乗平均は、データを掛け合わせたときの平均です。聞き慣れませんが、経済学などに使われます。
相乗平均=√ab
≪相乗平均の用途≫
相乗平均は、収益率や成長率など「毎年○%伸びている」といった物事の変化を表すの平均を出すときに使います。
≪単純平均と相乗平均の関係≫
この2種類の平均の大きさを比べると、常に(単純平均)≧(相乗平均)となります。

 

 

なぜ、変化率には相乗平均を使うのか、単純平均で計算してしまうと、やってみれば分かりますが、実際のデータとは合いません。成長率は一般的に前年度実績に複利で計算をすることになるので、相乗平均でないと困るからです。難しい理論は置いておいて、「相乗平均を使えばいい感じの値になったね(^^♪」という感覚でよいでしょう。

 

単純平均で経営判断すると効果を過大に見積もってしまうおそれあり、そうなると当然コスト増大の懸念があります。

 

◇調和平均
 調和平均は、速度や生産性などのように比率として表示される数の平均値を算出するときに用いられるものです。これも聞き慣れませんが、小学生で往復の時速の平均の問題で有名です。
調和平均=(2ab)/(a+b)

 

≪単純平均より調和平均を使うべきの例≫
◯◯度と呼ばれるものは、割合を示しています。例えば密度は体積当たりの重さ(kg/m3)で、速度も時間当たりの移動距離(km/h)ですので既に平均されているようなものです。速さや濃度や圧力といった、何かを何かで割り算して得られる比についての平均に使われます。

 

簡単に言うと、平均の平均をしても全体の平均にならないということです。2つの平均を足して2で割るなどトンチンカンなことはするべきではありません。なお、目的が大雑把なものでエイヤーと単純平均を使うことまでダメだということではありません。

 

◇加重平均
加重平均は、対象データに別の値を乗じてから足し合わせることにより、各データに重み付け(より重要なものに重みを加える)をして計算する平均値です。

 

経験上ですが、何かの傾向を抽出するよりも、何を優先するかなどの意思決定や順位付けの場面で使用しますので、このサイトの次工程では必須の算式となるでしょう。

まとめ

このように、ひとくちに平均といっても、いろいろな種類があるので、何かのデータを収集して平均をとる場合、ケースバイケースで、どの平均を使うべきか、よく考える必要があるということです。